大阪市中心6区の中古マンション売出価格、3ヵ月連続で下落 値下げ物件の割合は4割に
東京カンテイの2026年9月データ。大阪市中心6区の中古マンション70㎡換算売出価格は9,327万円で前月比−1.5%、3ヵ月連続の下落。大阪市全体は6,558万円で+0.2%にとどまり、直近3ヵ月に値下げした物件の割合は40.6%に上昇。購入検討者にとっての意味を整理します。
結論:大阪市中心部の売出価格は下落に転じ、大阪府平均はなお上昇
民間調査会社の東京カンテイは2026年10月22日、2026年9月の「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」を公表しました[1]。この統計は、同社データベースに登録された中古マンションの売り希望価格(売出価格)を行政区単位で集計し、専有面積70㎡に換算したものです。対象はファミリータイプのみで、30㎡未満の住戸や事務所・店舗用は除外され、9月の近畿圏の売事例数は19,199件です[2]。
結論を先に言うと、大阪市中心6区(福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区)の売出価格は9月に9,327万円で前月比−1.5%と、3ヵ月連続の下落。大阪市全体は6,558万円で+0.2%にとどまり、上昇の勢いははっきり弱まっています。一方、大阪府全体は築浅物件の増加もあって+1.4%の4,506万円と上昇が続いています[2]。
近畿圏と大阪府:平均値はまだ上昇中
- 近畿圏平均は3,693万円で前月比+1.5%、16ヵ月連続の上昇。前年同月比は+15.7%[2]。
- 大阪府は4,506万円で前月比+1.4%、前年同月比+21.0%。東京カンテイは、大阪市中心部で価格トレンドにやや弱さが出ているものの、築浅物件が増えたため大阪府の上昇率はむしろ拡大したと説明しています[2]。
- 兵庫県は2,651万円で+0.2%。ここ3ヵ月は目立った動きがありません[2]。
ここで注意したいのは、これが売出価格の平均値であり、物件構成の変化が平均値に直接影響するという点です。築浅で広い物件が多く売り出された月は平均価格が押し上げられますが、同じ住戸の価格が上がったことを意味するわけではありません。
大阪市:22ヵ月連続の上昇、ただし+0.2%にとどまる
主要都市別では、大阪市は9月に6,558万円で前月比+0.2%と22ヵ月連続で上昇したものの、東京カンテイは上昇度合いが着実に弱まってきていると表現しています。前年同月比はなお+22.7%です[2]。神戸市は2,929万円で+1.2%と2ヵ月ぶりに上昇し、7月に記録した最高値を上回りました[2]。
1年間で見ると、大阪市の70㎡換算売出価格は2025年9月の5,345万円から2026年9月の6,558万円へ上昇しました[3]。上げ幅は大きいものの、直近3ヵ月の前月比は+0.6%、+0.6%、+0.2%と、曲線はほぼ横ばいに近づいています[2]。
大阪市中心6区:3ヵ月連続の下落、先行指標も弱含み
大阪市中心6区の70㎡換算売出価格は、7月が9,497万円(前月比−0.1%)、8月が9,465万円(−0.3%)、9月が9,327万円(−1.5%)と、下落幅が月を追って拡大しています。前年同月比の上昇率も7月の+15.9%から9月の+10.3%へ縮小しました[2]。集計対象物件の平均築年は19.8年で、大阪市全体の26.6年よりかなり若く、中心部のサンプルは比較的新しいタワーマンションや大規模マンションが中心であることがわかります[2]。
東京カンテイは、大阪市中心部でも東京の都心部と同様に、流通戸数・価格改定シェア・値下げ率という価格トレンドの先行指標がいずれも急速に悪化しつつあると指摘しています[2]。東京側では、都心6区が9月に17,786万円で前月比−1.6%と5ヵ月連続の下落、前年同月比は+1.3%にまで縮小。東京23区は12,629万円で−0.4%と4ヵ月連続の下落です[2]。つまり、東京都心が先に調整に入り、大阪中心部がそれに続きつつある構図です。
値下げ物件の割合は4割に
東京カンテイが同日公表した指標データによると、大阪市の中古マンションの流通戸数(重複を除いた正味の在庫)は2025年9月の4,002戸から2026年9月の4,482戸に増加。「価格改定シェア」、すなわち継続流通戸数のうち直近3ヵ月間に一度でも値下げした住戸の割合は31.9%から40.6%に上昇し(8月は39.4%)、平均値下げ率は−5.9%から−6.1%に拡大しました[3]。参考までに、東京23区の価格改定シェアは9月に51.0%、値下げ率は−6.4%に達しています[3]。
これらの数字は、前日に解説した近畿レインズの四半期データと同じ方向を示しています。成約は減り、在庫は増え、売主が自ら価格を見直し始めている、ということです。売出価格は売主の希望価格であり、市場の変化を最も遅れて映す指標と言えます。その売出価格まで下がり始めたことは、売主の期待が買主側に歩み寄りつつあることを意味します。
購入検討者にとっての意味
第一に、中心部タワーマンションの価格交渉の余地が広がっています。 中心六区の売出価格は三ヵ月続けて下がり、流通物件の四割が直近三ヵ月以内に値下げしています。最初の提示価格をそのまま受け入れる必要はなく、同じ棟の直近の成約事例や価格改定の履歴を参考に申し込み価格を決めることができます。
第二に、平均値を個別物件の相場と混同しないことです。 大阪府や近畿圏の平均値が上がっているのは築浅物件の比率が高まったためで、大阪市中心部のサンプルは平均築年19.8年、郊外の築30年以上のマンションとは別の市場です[2]。ある物件が高いか安いかは、同じエリア・同じ築年・同じタイプの直近事例で判断する必要があります。
第三に、先行指標の悪化が大幅な値下がりを意味するわけではありません。 大阪市全体の前年同月比はなお+22.7%、中心6区も+10.3%の上昇で、現時点で見えているのは上昇ペースの鈍化と高値圏での調整であり、トレンドの反転ではありません[2]。金利の動向、新築供給、海外からの購入者の動きなど、今後の価格を左右する要素にはまだ不確実性があります。
第四に、実需の購入者は落ち着いて物件を選べる環境になっています。 在庫が増え、値下げ物件も増えているため、焦って申し込むのではなく、複数の物件を見比べて管理状況や修繕積立金を比較する余裕があります。
まとめ
2026年9月の東京カンテイ70㎡換算売出価格データでは、近畿圏と大阪府の平均はなお上昇しているものの、大阪市は+0.2%の小幅な上昇にとどまり、大阪市中心6区は3ヵ月連続で下落、値下げ物件の割合は40.6%に上昇しました[2][3]。大阪市中心部の中古マンション市場は、一方的な上昇から、売主と買主が価格を探り合う局面に入りつつあります。梅田・中之島・難波周辺のタワーマンションや中古マンションをご検討中の方は、個別の棟の売出・成約履歴を踏まえて提示価格の妥当性を一緒に確認いたしますので、お気軽にご相談ください。
出典
- 株式会社東京カンテイ「2026年9月 東京23区は-0.4%の12,629万円と4ヵ月連続の下落、都心部は5ヵ月連続のマイナスで城北・城東エリアも上昇一服(三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移)」2026年10月22日(閲覧 2026年10月28日)
- 株式会社東京カンテイ「プレスリリース「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」2026年9月」2026年10月22日(閲覧 2026年10月28日)
- 株式会社東京カンテイ「中古マンション価格および各指標の推移(流通戸数・価格改定シェア・値下げ率)2026年9月」2026年10月22日(閲覧 2026年10月28日)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資・税務・法律上の助言ではありません。数値は末尾の出典の公表時点のものであり、その後変わる可能性があります。個別のご判断は専門家にご相談ください。
