11月の住宅ローン金利:大手4行が10年固定を引き下げ、変動は据え置き ただし短プラは11月2日から0.25%引き上げ
大手5行が10月30日に発表した11月の住宅ローン金利は、10年固定が4行引き下げ、変動は5行とも据え置き。一方、三菱UFJ銀行と三井住友銀行の短期プライムレートは11月2日・9日から2.375%→2.625%へ。変動型の返済額がどう変わるか、5,000万円の試算付きで整理します。
結論:固定金利はひと息、しかし変動金利の返済額はこれから動き出す
国内大手5行は2026年10月30日、11月に適用する住宅ローン金利を発表しました。10年固定型の最優遇金利は4行が引き下げ、引き上げたのは三菱UFJ銀行のみ。変動型は5行とも据え置きです[1]。一見「金利が下がった」という朗報に見えます。しかし同じ11月に、三菱UFJ銀行と三井住友銀行の短期プライムレート(以下「短プラ」)は、それぞれ11月2日と11月9日から2.375%から2.625%へ引き上げられます[3][4]。変動型住宅ローンはまさに短プラを基準に決まるため、すでに返済中の方は、返済額引き上げのプロセスが今月から始まります。新規借り入れについても、変動が11月に据え置かれたことは12月も据え置かれることを意味しません。
事実:11月の各行の金利
共同通信がまとめた11月の10年固定型最優遇金利(年率)は次のとおりです[1]。
- みずほ銀行 3.400%、引き下げ[1]
- 三井住友銀行 3.700%、引き下げ[1]
- りそな銀行 4.065%、引き下げ[1]
- 三井住友信託銀行 4.445%、引き下げ[1]
- 三菱UFJ銀行 3.890%、0.140ポイント引き上げ[1]
引き下げた4行の下げ幅は0.140〜0.520ポイント。変動型は5行とも前月の水準を維持しました[1]。三菱UFJ銀行の公式サイトに掲載された11月の新規借り入れ金利を見ると、変動(最優遇)1.195%、固定10年3.89%、固定20年4.61%、全期間固定31〜35年4.50%です[2]。
変動型の据え置きは、10月の水準がそのまま11月に続くということです。日本経済新聞によると、10月の大手5行の変動型最優遇金利は、三菱UFJ 1.195%、三井住友 1.525%、みずほ 1.275%、りそな 1.25%、三井住友信託 1.7%で、5行平均は1.389%。同月の10年固定型の平均は4.104%でした[7]。比べると、11月の10年固定は総じて10月より安くなりましたが、変動と固定の差は依然として2ポイント以上あります。
全期間固定では、住宅金融支援機構の【フラット35】(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下)の10月の最頻金利は3.830%でした[9]。11月分は本稿執筆時点では未公表です。
背景:長期金利が低下し、固定金利が追随
10年固定金利は主に10年国債利回りに連動します。財務省の国債金利情報によると、新発10年国債利回りは8月31日に2.943%、9月28日・29日に3.082%、10月7日には3.111%まで上昇した後に低下し、10月29日は2.876%でした[6]。共同通信は、9月に10年債利回りが3%を超えて約30年ぶりの高水準をつけ、その後3%を下回って推移しているとし、今回の固定金利引き下げはこの低下を反映したものだとみています[1]。
言い換えれば、固定金利の引き下げは銀行の「サービス」ではなく、将来の利上げ経路と物価に対する市場の見方が10月にやや落ち着いたことの反映です。同じ月に三菱UFJ銀行が10年固定を3.890%へ逆に引き上げている点にも注意が必要です[1]。各行の固定金利の見直しのタイミングはそろっておらず、比較するときは「4行引き下げ」という見出しではなく、自分が実際に受けられる適用金利を見る必要があります。
要点:短プラは11月2日から引き上げ、変動金利への波及が始まる
変動型住宅ローンの金利は、「短プラに一定幅を上乗せした」店頭基準金利から各行の優遇幅を差し引いて決まり、短プラは日本銀行の政策金利に連動して動きます。日本銀行は9月18日に政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げ、9月24日から適用しました[8]。これを受けて三菱UFJ銀行は9月18日、短プラを11月2日から2.375%から2.625%へ0.25ポイント引き上げると発表[3]。三井住友銀行も9月28日に同じ2.625%への引き上げを発表し、実施日は11月9日、実施日以降の新規取組と利息の支払いに適用されます[4]。三井住友信託銀行も、11月2日付の短プラ改定に伴い、住宅ローンやアパートローンなど短プラを基準とするローンの金利を0.25ポイント引き上げると顧客に案内しています[5]。
ここで2つのことを区別する必要があります。第一に、新規借り入れの変動最優遇金利が11月に動かなかったのは、各行が月ごとに金利を公表しており、11月の金利は短プラ改定が効く前に決まっていたからです。日本経済新聞は9月末の時点で、大手行が11月に短プラを改定する予定で、変動型金利は12月以降も上昇が続く見込みだと報じています[7]。第二に、すでに返済中の変動型ローンの金利は、契約で定められた見直し日に変わるのであって、発表当日に変わるわけではありません。この点は次で詳しく見ます。
購入検討者と返済中の方にとっての意味
変動型を返済中の方:返済額はすぐには変わらないが、必ず変わる。 三井住友信託銀行の案内には、金利の変更日は商品ごとに異なること、元利均等返済で5年ごとに返済額を見直す方式では返済額は5年間一定で、5年目の再計算時に金利が上がっていても新しい返済額は従来の125%が上限であること、年2回見直す方式では4月1日と10月1日を基準日として金利に変更があれば返済額を再計算すること、変更後の返済予定表は2027年4月中旬以降順次発送されることが明記されています[5]。つまり、今回の引き上げが多くの方の請求額に完全に反映されるのは2027年になってからですが、利息は金利変更日から新しい利率で計算されます。5年ルールは先送りであって、免除ではありません。
変動か固定かを選んでいる方:差は依然大きいが、方向は逆。 三菱UFJ銀行の11月金利で、借入5,000万円・35年・元利均等の簡単な試算(手数料・保証料を除く)をすると、変動1.195%なら毎月の返済額は約14.6万円、10年固定3.89%なら約21.8万円。変動金利が短プラに合わせて0.25ポイント上がり1.445%になると約15.2万円です[2]。固定金利は今月下がったとはいえ、変動よりなお2.5ポイント以上高い一方、変動は目先は安くても、上で見たとおり9月の利上げが11月以降に変動金利へ波及します。0.25ポイント上がるごとに、この借入では毎月約6,000円の負担増です。
固定金利を考えている方:今回が「窓」なのか「始まり」なのかは誰にも保証できない。 10年国債利回りは10月7日の3.111%から10月29日の2.876%へ低下し、固定金利もそれに追随して下がりました[6]。利回りがさらに下がるかどうかは物価と日本銀行の次の一手次第で、住宅ローンを扱う銀行が決められることではありません。金利を固定すると決めたなら、来月の数字を待つより、各行の実際の適用金利と手数料を比較するほうが意味があります。
海外からの購入者と投資目的の方: 賃料収入で返済する場合は、変動金利がさらに0.25〜0.5ポイント上がるケースをキャッシュフローに織り込むべきです。収入が日本国外にある方は、さらに為替の変動も重なります。
まとめ
11月の住宅ローン金利は「固定は下げ、変動は横ばい」でした[1]。しかし短プラは11月2日と11月9日から0.25ポイント引き上げられ[3][4]、変動型ローンのコストは今後数か月かけて順次上がっていきます。ローンを比較中の方も、変動型を返済中の方も、いま取り組む価値があるのは「変動があと0.5ポイント上がる」ケースで返済額を計算し直すことです。大阪での物件購入をご検討中の方は、ぜひご相談ください。具体的な物件と資金状況に合わせて、複数の金利シナリオでの返済負担を一緒に整理します。
出典
- 東京新聞「住宅ローン固定型4行下げ 11月、長期金利低下で(共同通信)」2026年10月30日(閲覧 2026年11月2日)
- 三菱UFJ銀行「住宅ローン 金利一覧(2026年11月にお借り入れの場合)」2026年11月1日(閲覧 2026年11月2日)
- 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について(改定日:2026年11月2日)」2026年9月18日(閲覧 2026年11月2日)
- 三井住友銀行「短期プライムレートの引き上げについて(実施日:2026年11月9日)」2026年9月28日(閲覧 2026年11月2日)
- 三井住友信託銀行「ローン金利の変更について(2026年11月2日付短期プライムレート改定に伴う)」2026年9月28日(閲覧 2026年11月2日)
- 財務省「国債金利情報(新発10年国債利回り、令和8年10月29日まで)」2026年10月30日(閲覧 2026年11月2日)
- 日本経済新聞「住宅ローン変動金利、大手3行が引き上げ 10月平均1.3%超に」2026年9月30日(閲覧 2026年11月2日)
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日)」2026年9月18日(閲覧 2026年11月2日)
- 住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利の推移(2026年10月)」2026年10月1日(閲覧 2026年11月2日)
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