住宅ローン控除の仕組み:2026年以降に入居する場合の要件・控除額・手続き
住宅ローンで自宅を取得すると、年末残高の0.7%を10年〜13年にわたり所得税・住民税から差し引けます。国税庁と国土交通省の最新情報をもとに、2026年以降に入居する場合の控除限度額、床面積・所得要件、中古マンションの耐震要件、2つの試算例、初年度の確定申告の手続きを整理します。
結論
日本で住宅ローンを使って自宅を取得すると、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられます。毎年、年末のローン残高の0.7%を所得税から直接差し引き、引ききれない分は住民税から差し引く仕組みで、中古マンションは原則10年、省エネ性能が確認できる住宅は最長13年です[2]。制度は2030年12月31日までに入居した住宅まで延長されています[3]。ただし、控除額は住宅の省エネ区分、床面積、本人の所得や世帯の状況によって変わり、どの物件でも上限まで使えるわけではありません。
2026年以降の枠組み:0.7%、10年〜13年、住宅の区分で上限が変わる
控除額は、年末ローン残高(住宅の取得対価のほうが少ない場合はその額)に0.7%を掛け、年間の控除限度額と比べて少ないほうになります[1]。限度額は住宅の区分ごとに決まっており、2026年から2030年に入居する中古住宅の場合は次のとおりです[2]。
- 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅:13年、年最大24.5万円[2]
- ZEH水準省エネ住宅:13年、年最大24.5万円[2]
- 省エネ基準適合住宅:13年、年最大14万円[2]
- その他の住宅(省エネの証明がない中古マンションの多くはここに入ります):10年、年最大14万円[2]
0.7%で逆算すると、年14万円の上限はローン残高2,000万円分、24.5万円は3,500万円分に当たり、それを超える残高があっても控除額は増えません[2]。
新築住宅は上限がさらに高く、認定住宅は年最大31.5万円、ZEH水準は24.5万円、省エネ基準適合住宅は2026年・2027年入居で14万円、期間はいずれも13年です。省エネ基準に適合しない新築住宅は、2023年末までに建築確認を受けたものなどを除き、原則として対象外です[1]。また2028年以降の入居では、土砂災害特別警戒区域などの「災害レッドゾーン」にある新築住宅も対象外になりますが、既存住宅はこの制限の対象ではありません[3]。
子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せ
40歳未満で配偶者がいる方、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる方、19歳未満の扶養親族がいる方は、入居年の12月31日の状況で「特例対象個人」と判定され、限度額が上乗せされます。中古の認定住宅とZEH水準省エネ住宅は年最大31.5万円、省エネ基準適合住宅は年最大21万円です[2]。「その他の住宅」には上乗せがありません[2]。
主な要件:床面積・所得・耐震性・入居時期
- 床面積:登記簿上の床面積で判定し、原則として50㎡以上、かつ床面積の2分の1以上を自己の居住用とすることが必要です[2]。2026年からは新築・既存とも40㎡以上に緩和されましたが、40㎡以上50㎡未満の住宅は合計所得金額1,000万円以下が条件で、子育て世帯等の上乗せも使えません[3]。マンションの登記面積は壁の内側で測るため、広告の面積より小さくなるのが普通です。40㎡・50㎡前後の物件は、先に登記面積を確認しておくと安心です。
- 所得:合計所得金額2,000万円以下です[2]。
- 耐震性(中古):1982年1月1日以後に建築されたもの、または取得の日前2年以内に耐震基準適合が証明されたものが対象です[2]。旧耐震のマンションは特に確認が必要です。
- 入居とローン:取得から6か月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで住み続けていること、返済期間10年以上のローンであること、生計を一にする親族など特別な関係のある人からの取得でないことが必要です[2]。
試算例:いくら控除されるか
例1:大阪で省エネの証明がない中古マンション(その他の住宅)を購入し、1年目の年末残高が3,000万円の場合。3,000万円×0.7%=21万円ですが、上限が14万円なので、その年の控除は最大14万円です[2]。その年の所得税が10万円しかなければ、引ききれない4万円は翌年度の住民税から差し引かれます。2026年から2030年に入居した場合、住民税からの控除は所得税の課税総所得金額等の5%が上限で、最大97,500円です[4]。
例2:配偶者がいる35歳の方が、証明書のあるZEH水準の中古マンションを購入し、年末残高が4,000万円の場合。4,000万円×0.7%=28万円で、特例対象個人の上限31.5万円を下回るため、最大28万円が控除されます[2]。その後は残高が毎年減るので、控除額も少しずつ小さくなります。
手続き:初年度は確定申告、2年目以降は年末調整
初年度は必ず本人が確定申告をし、計算明細書、金融機関が発行する年末残高等証明書、登記事項証明書、売買契約書の写しなどを添付します。ZEH水準などの区分で受ける場合は、その性能を示す証明書も必要です[1]。給与所得者は2年目以降、税務署から届く控除証明書と年末残高等証明書を勤務先に提出し、年末調整で控除を受けられます[1]。住民税の分は市への別途申告は不要で、所得税の申告内容に基づいて計算されます[4]。
まとめ
住宅ローン控除の金額を大きく左右するのは、省エネ性能の証明があるか、登記面積が50㎡に届くか、子育て世帯・若者夫婦世帯に当たるか、の3点です[3]。中古マンションの場合、省エネ性能の証明書は取引の段階で売主や管理会社に確認しておかないと、後から用意するのが難しいことがあります。また、控除は実際に納めている税額までしか使えないため、所得が高くない場合は上限まで届きません。適用の可否は最終的に税務署や税理士にご確認ください。内見の段階で床面積・築年・証明書類まで確認しておきたい方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
出典
- 国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」2026年4月1日(閲覧 2026年11月4日)
- 国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」2026年4月1日(閲覧 2026年11月4日)
- 国土交通省「住宅ローン減税」2026年6月(閲覧 2026年11月4日)
- 大阪市「税額控除額の種類と計算(住宅借入金等特別税額控除)」2026年7月22日(閲覧 2026年11月4日)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資・税務・法律上の助言ではありません。数値は末尾の出典の公表時点のものであり、その後変わる可能性があります。個別のご判断は専門家にご相談ください。
