中古マンション購入の諸費用はいくら?税金・仲介手数料・ローン費用を一覧で整理
住宅の購入には、物件価格のほかに印紙税、登録免許税、不動産取得税、仲介手数料、司法書士報酬、ローン事務手数料、火災保険料、売主との精算金がかかります。国税庁・大阪府市・国土交通省の規定に沿って項目ごとに整理し、5,000万円の大阪の中古マンションで試算すると、諸費用は価格の約6%になります。
結論を一言で
日本で住宅を買うとき、契約時と引渡し時に支払うお金は物件価格だけではありません。国に納める印紙税と登録免許税、都道府県に納める不動産取得税、仲介会社に支払う仲介手数料、司法書士への報酬、住宅ローンの事務手数料と火災保険料、さらに売主と引渡し日で按分する固定資産税や管理費の精算金。これらをまとめて「諸費用」と呼びます。価格5,000万円、自己居住、借入4,500万円の大阪の中古マンションで試算すると、諸費用はおよそ300万円前後、価格の6%近くになります[6][3][8]。以下、項目ごとに「いくら・誰に・いつ」を整理します。
費用一覧:5,000万円の大阪の中古マンションで試算
試算の前提は次のとおりです。大阪市内の中古マンション、2005年築、専有面積70㎡、成約価格5,000万円、買主は自己居住、銀行から4,500万円を借入。固定資産税評価額は建物900万円・土地持分400万円と仮定します(評価額は説明用の仮の数字で、実際は売主の納税通知書で確認します)[5][3]。
| 項目 | 支払先・時期 | 計算方法 | 試算額 |
|---|---|---|---|
| 売買契約書の印紙税 | 国、契約時に契約書へ貼付 | 1,000万円超5,000万円以下の契約:1万円[1] | 1万円 |
| ローン契約書の印紙税 | 国、ローン契約時 | 1,000万円超5,000万円以下:2万円[2] | 2万円 |
| 仲介手数料 | 仲介会社、契約時と引渡し時 | 価格帯ごとに200万円以下5.5%、200万円超400万円以下4.4%、400万円超3.3%(消費税込)[6] | 171.6万円 |
| 登録免許税 | 国、引渡し日に司法書士が納付 | 土地評価額×1.5%、建物評価額×0.3%、借入額×0.1%(軽減税率)[3] | 13.2万円 |
| 司法書士報酬 | 司法書士、引渡し日 | 各事務所が自由に設定[7] | 別途 |
| ローン事務手数料 | 銀行、融資実行時 | 例:借入額×2.2%(税込)[8] | 99万円 |
| 火災保険料 | 保険会社、引渡し前 | 借入期間中は加入が必須、保険金額と期間で決まる[9] | 別途 |
| 固定資産税等の精算金 | 売主、引渡し日 | 当年の税額と当月の管理費を引渡し日で按分[10][11] | 別途 |
| 不動産取得税 | 大阪府、引渡しの数か月後 | 自己居住・70㎡・2005年築のマンションは控除と減額の適用後0円[5] | 0円 |
金額が確定できる項目を合計すると286.8万円。これに司法書士報酬、火災保険料、精算金を加えると、総額はおよそ300万円、価格の6%近くになります[1][2][6][3][8]。このうち仲介手数料とローン事務手数料が九割以上を占め、税金はむしろ小さい部分です。
三つの税金:印紙税・登録免許税・不動産取得税
印紙税:契約金額の区分で決まる
売買契約書とローン契約書には印紙を貼ります。不動産の売買契約書には軽減措置があり、2014年4月1日から2027年3月31日までに作成される契約書は、1,000万円超5,000万円以下の区分が1万円、5,000万円超1億円以下が3万円です[1]。軽減のない本則税額はそれぞれ2万円と6万円なので、現在は半額に相当します[2]。ローンの金銭消費貸借契約書にはこの軽減がなく、1,000万円超5,000万円以下は2万円です[2]。契約金額がちょうど5,000万円の場合は「5,000万円以下」の区分に入るため、試算では1万円としています[1]。
登録免許税:三つの登記、三つの税率
引渡し当日、司法書士は土地と建物の所有権移転登記、そして銀行の抵当権設定登記の三件を申請します。税率は固定資産税評価額または債権額に対して計算します[3]。
- 土地の売買による所有権移転登記:本則2%、2029年3月31日までに登記する場合は1.5%[3];
- 住宅用家屋の売買による所有権移転登記:本則2%、個人が自己居住用に取得し要件を満たす場合、2027年3月31日までの登記は0.3%[3];
- 住宅ローンの抵当権設定登記:同じ条件で、2027年3月31日までは0.1%[3]。
建物と抵当権の軽減は自動ではなく、登記申請時に市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」を添付する必要があり、登記後に提出しても適用されません[3]。大阪市の要件は、個人が自己の居住用に取得すること、取得後1年以内に登記すること、登記簿上の床面積が50㎡以上であること、区分所有建物は耐火または準耐火建築物であること、そして1982年1月1日以後の建築であるか耐震基準適合証明書等があること。証明書の手数料は1通1,300円です[4]。
試算では、土地400万円×1.5%=6万円、建物900万円×0.3%=2.7万円、抵当権4,500万円×0.1%=4.5万円、合計13.2万円になります[3]。賃貸目的で買う場合や専有面積が50㎡未満の場合は、建物部分が本則2%の18万円になり、抵当権部分も本則に戻るため、この項目だけで十数万円増えます[3][4]。
不動産取得税:引渡しの数か月後に届く請求
不動産取得税は都道府県税で、税率は3%、宅地の課税標準は評価額の2分の1です。自己居住の中古住宅で、1982年1月1日以後の建築、床面積40㎡以上240㎡以下であれば、建物部分は最大1,200万円の控除、土地部分には別に減額があります[5]。試算の物件では、建物900万円から1,200万円を控除するとゼロ、土地部分も減額後ゼロなので、この項目は0円です。同じ物件を賃貸目的で買うと控除と減額が使えず、約33万円の納税になります[5]。詳しい計算は本コラムの別記事で解説しています。
専門家への支払い:仲介手数料と司法書士報酬
仲介手数料の上限は国土交通省の告示で定められ、価格帯ごとに200万円以下5.5%、200万円超400万円以下4.4%、400万円超3.3%(いずれも消費税込)で、買主と売主はそれぞれ自分が依頼した仲介会社に支払います[6]。5,000万円の物件では11万円+8.8万円+151.8万円=171.6万円となり、よく使われる速算式「(価格×3%+6万円)×1.1」と同じ結果です[6]。これは上限であって定価ではありません。また、800万円以下の低廉な物件には上限33万円の特例があります[6]。デベロッパーや「売主」業者から直接買う場合は仲介が入らないため、この項目はゼロです[6]。
司法書士は本人確認と権利証の確認、登記書類の作成を行い、引渡し当日に登記を申請します。報酬は各司法書士が自由に定めることになっており、日本司法書士会連合会は依頼前に報酬について十分な説明を受けるよう呼びかけています[7]。実務では買主側が司法書士を指定することが多く、報酬は登録免許税とあわせて引渡し日に精算します。
ローン関連:事務手数料・保証料・火災保険
住宅ローンを使う場合、銀行に事務手数料を支払います。ネット銀行では「借入額×料率」型が多く、例えばドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行)は融資金額の2.2%(税込)で、借入金額から直接差し引かれ、印紙代・登記費用・火災保険料は含まれません[8]。4,500万円の借入なら99万円です[8]。定額の手数料に保証料を組み合わせる銀行もあり、総額の差は小さくないため、ローンの比較は金利だけで判断しないことが大切です。
フラット35は保証人も保証料も不要ですが、融資手数料は取扱金融機関ごとに異なり、差が大きい点に注意が必要です[9]。どのローンでも、返済終了までの間は借入対象の住宅に火災保険へ加入する必要があり、保険金額は借入額以上、保険料は借入者の負担で、期間や払込方法は金融機関の定めによります[9]。
売主との精算金:固定資産税と管理費
固定資産税と都市計画税は1月1日時点の所有者に課税されるため、その年の納税通知書は売主に届きます。実務では売買契約で引渡し日を基準に負担を分け、引渡し日以降の分を買主が引渡し当日に売主へ支払います[10]。起算日には1月1日と4月1日の二つの慣行があり、関西では4月1日が一般的ですが、法律上の決まりはなく契約書の定めによります[10]。
マンションの管理費と修繕積立金は翌月分を前払いするのが一般的で、引渡し月の分も引渡し日で按分し、引渡し日以降は買主の負担として、同じく引渡し当日に売主へ精算します[11]。これらの精算金は税金ではなく売買代金の一部で、金額は数万円程度のことが多いものの、現金で用意しておく必要があります。
買主にとっての意味
- 価格の6%前後を現金で用意する。 ローンは通常物件価格までで、諸費用の多くは契約時と引渡し時に自己資金で支払います。5,000万円の物件なら、諸費用として少なくとも300万円前後の手元資金が必要です[6][8][3]。
- 大きいのは仲介手数料とローン事務手数料。 税金の合計は十数万円にとどまり、主な支出は仲介手数料と銀行の手数料です。「売主」業者から直接買う、各行の手数料を比較する方が、税金の節約より効果があります[6][8]。
- 自己居住・50㎡以上・1982年以後の建築で軽減がそろう。 登録免許税の住宅軽減は床面積50㎡以上が要件で、不動産取得税の控除は40㎡以上。投資用のワンルームはどちらも使えません[3][4][5]。
- 多くの軽減措置は2027年3月31日が期限。 印紙税の軽減、住宅用家屋と抵当権の登録免許税の軽減、不動産取得税の3%税率と宅地の2分の1特例はいずれも2027年3月31日までと定められており、その後の延長は2027年度の税制改正次第です[1][3][5]。
- 引渡し日に必要な現金は想像より多い。 登録免許税、司法書士報酬、精算金、仲介手数料の残金はすべて引渡し当日の支払いです。事前に仲介会社へ「決済時費用明細」を求めておきましょう。
まとめ
日本の住宅購入の諸費用は、国税(印紙税・登録免許税)、府税(不動産取得税)、仲介手数料、司法書士報酬、ローン事務手数料、火災保険料、売主との精算金で構成されます。5,000万円の自己居住用中古マンションでは合計およそ300万円、価格の6%近くで、その大半は仲介手数料とローン事務手数料が占め、自己居住と面積の要件を満たせば税金はわずかです[6][3][8][5]。特定の物件の諸費用の内訳や、ご自身のローン条件での再試算をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
出典
- 国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」2026年4月1日(閲覧 2026年11月5日)
- 国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」2026年4月1日(閲覧 2026年11月5日)
- 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」2026年4月1日(閲覧 2026年11月5日)
- 大阪市「住宅用家屋証明書」2026年5月11日(閲覧 2026年11月5日)
- 大阪府「府税あらかると:不動産取得税」2026年4月9日(閲覧 2026年11月5日)
- 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ(媒介報酬の上限)」2026年11月5日(閲覧 2026年11月5日)
- 日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」2024年11月(閲覧 2026年11月5日)
- ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行)「住宅ローン 手数料・諸費用」2026年11月5日(閲覧 2026年11月5日)
- 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」2026年11月5日(閲覧 2026年11月5日)
- 東急リバブル「不動産売却時の固定資産税の精算方法とは?起算日や計算方法を解説」2025年11月7日(閲覧 2026年11月5日)
- LIFULL HOME'S「マンション売却時に管理費・修繕積立金は精算できる?滞納による影響も解説」2025年4月8日(閲覧 2026年11月5日)
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