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外国人は日本で不動産を買えるのか:2026年の新ルール(登記時の国籍申出・外為法報告・重要土地等調査法改正案)

外国人も日本人と同じく日本の不動産所有権を取得でき、国籍や居住の要件はありません。2026年は登記時の国籍申出、海外居住者の外為法報告の拡大、非居住者向け仲介手数料の消費税課税が加わり、安全保障上重要な土地の許可制法案が国会で審議中です。

結論:買えます。ただし2026年からは「申出・報告」が増えました

外国人は日本で土地・建物を購入し、日本人と同じ所有権を取得できます。国籍、在留資格、日本での居住といった前提条件はありません。これは業界の慣行ではなく法律の定めです。外国人土地法は、外国人・外国法人が日本で土地所有権等を取得することを原則として認め、相互主義や国防上の必要がある場合に政令で制限できるとしていますが、第1条の政令は一度も制定されたことがありません[1]。民法も、外国人は法令または条約で禁止される場合を除き私権を享有すると定めています[1]。

一方で今年はルールの変化が多い年です。登記の際の国籍の申出が始まり、海外居住者の外為法に基づく報告の範囲が広がり、仲介手数料に消費税がかかるようになり、安全保障上重要な土地の許可制を導入する法案が国会で審議されています。買主が出会う順に整理します。

登記の場面:2026年10月5日から国籍の申出が必要

2026年10月5日以降、所有権の保存・移転などの登記を申請して登記名義人となる個人は、「検索用情報」の申出の際に「国籍等」も申し出る必要があります[6]。日本人も対象で、外国人だけの制度ではありません。外国籍の買主は、国籍の記載がある住民票の写し、または旅券・在留カード・特別永住者証明書の写しを添付します[6]。法務省は、この情報を将来相続が発生した際に準拠法を判断する基礎として位置づけています[6]。

もう一つは2024年4月1日から始まった「国内連絡先」です。海外に住所がある個人・法人が所有権の登記名義人になる場合、日本国内の連絡先(不動産会社や司法書士など)を登記事項として申請します。連絡先となる者がいないときはその旨を申し出ることもできますが、別途上申書が必要です[7]。日本に住民票のある外国人には関係ありません。

海外に住む買主:外為法の報告、納税管理人、消費税

外為法に基づく事後報告。 非居住者が日本の不動産やこれに関する権利を取得した場合、取得後20日以内に日本銀行を経由して財務大臣に報告書を提出する必要があります。本人のほか、国内の代理人(仲介会社など)が提出することもできます[8]。2026年4月1日施行の省令改正で、居住用・非営利業務用・事務所用の取得や、他の非居住者からの取得も報告の対象に追加されました[9]。つまり、自分で住むために買う場合も報告が必要です。

納税管理人。 非居住者が確定申告書の提出、税務署からの書類の受け取り、納税や還付金の受け取りなどを行う必要があるときは、納税管理人を定めて税務署に届出書を提出します。納税管理人は個人でも法人でも構いません[12]。保有中の固定資産税や賃貸収入の申告で必要になります。

仲介手数料の消費税。 これまで非居住者に対する国内不動産の売買・貸借の代理・媒介は「輸出免税」として消費税がかかりませんでした。令和8年度税制改正でこれが免税の対象から除外され、2026年10月1日以後に行う役務の提供は標準税率で課税されます。2026年3月31日までに締結した契約に基づくものだけが従来どおりです[10]。消費税の標準税率は10%です[11]。海外の買主が諸費用を見積もる際は、仲介手数料を税込みで計算してください。

安全保障の観点:重要土地等調査法の現行ルール

2021年6月に制定され、2022年9月20日に全面施行された重要土地等調査法は、防衛関係施設などの重要施設の周囲おおむね1,000メートルと国境離島等を「注視区域」に指定し、土地等の利用状況を調査するとともに、施設の機能を阻害する行為には勧告・命令を行います。特に重要な施設の周辺等は「特別注視区域」とされ、一定規模以上の取引に事前届出が求められます[2]。

買主が覚えておくべき点は三つです。特別注視区域内の面積200平方メートル以上の土地・建物(建物は各階の床面積の合計)の取引では、売主・買主の双方が契約締結前に内閣総理大臣へ届け出ること、注視区域は届出の対象ではないこと、そして届出をせずに契約した場合や契約から2週間以内に届出をしなかった場合、虚偽の届出をした場合は6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になることです[5]。これは届出制であって審査制ではなく、国籍によって購入の可否が変わるものではありません。

内閣官房の資料によれば、2024年度に583の注視区域内で売買等の登記により取得された土地・建物は合計113,827筆個で、このうち外国人・外国系法人による取得は3,498筆個、全体の3.1%でした。そのうち国外に所在する者の割合は20.4%です[1]。

審議中の改正案:一部の区域で許可制へ

政府は2026年3月に「外国人による土地取得等のルールの在り方検討会」を設置し、10月2日の第5回会合で提言が取りまとめられました[3]。提言は、重要土地等調査法の改正により、ドローン攻撃などに特に脆弱な重要施設の周囲おおむね1,000メートルと無人の国境離島について土地等の取得に事前許可制を導入すること、小規模な土地でもドローンの拠点になり得るため面積要件を設けないこと、規制対象を外国人に限定せず外国政府等の実質的な支配下にある日本人・日本法人も対象とすること、相続による取得は許可制の対象としないことを求めています[2]。

共同通信によると、政府は10月23日に改正案を閣議決定し国会に提出しました。「規制区域」を指定して区域内の土地取得に国の事前許可を求め、外国政府や軍の関係者、それらが実質的に支配する法人には原則として許可を出さず、無許可の取引は無効として登記を受け付けず、違反には3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金を科す内容です[4]。

強調したいのは、これが特定の区域と特定の主体を対象とする安全保障上の措置であり、外国人の住宅購入全般を制限するものではない点です。法案は審議中で、具体的な区域は指定後に内閣府が公表します。検討中の物件が該当区域にあるかどうかは、契約前に仲介会社に確認を依頼できます。

マンション市場:政府が見ているのは国籍ではなくデータ

「外国人がマンション価格を押し上げている」という声について、提言は国土交通省の調査を引用しています。2024年に保存登記された新築マンションのうち1年以内に転売された短期売買は東京圏で6.6%、大阪圏で4.8%。2025年に保存登記された新築マンションのうち国外に住所がある者による取得は東京圏で1.6%、大阪圏で2.6%。氏名から外国人等と類推される者による取得は都心6区で11.9%でした[2]。提言は同時に、国外居住者の取得と短期売買との相関は現時点で認められず、投機的取引は国籍を問わず抑制すべきだとしています[2]。

政府の対応は、まず登記時の国籍申出で実態を把握し、不動産協会が2025年11月に始めた購入戸数の上限などの自主的な取組を注視するというものです[2]。つまり現時点で、外国人のマンション購入に対する制限や追加課税はなく、カナダやシンガポールなどの制度とは異なります[1]。

まとめ

外国人が日本で住宅を買うのに資格要件はなく、所有権は日本人と同じです。今年の変化は主に三つの「申出・報告」です。登記時の国籍の申出、海外居住者の外為法報告と納税管理人、そして非居住者向け仲介手数料の消費税です。安全保障上の届出や審議中の許可制は、重要施設の周辺など特定の区域だけに関わります。購入前に、ご自身の居住状況(日本在住か海外在住か)、物件の所在地、費用を整理しておけば、想定外は避けられます。個別の物件について手続きや費用を確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。

出典

  1. 内閣官房「我が国の土地等に関連する制度及び運用状況等について(外国人による土地取得等のルールの在り方検討会 第1回 資料3)」2026年3月4日(閲覧 2026年11月2日)
  2. 外国人による土地取得等のルールの在り方検討会(内閣官房)「安全保障上重要な土地等の取得等に関するルールの在り方について 提言」2026年10月2日(閲覧 2026年11月2日)
  3. 内閣官房「外国人による土地取得等のルールの在り方検討会(開催状況)」2026年10月2日(閲覧 2026年11月2日)
  4. 東京新聞「政府、基地周辺土地取得に許可制 外国政府や軍関係者は原則認めず(共同通信)」2026年10月23日(閲覧 2026年11月2日)
  5. 内閣府「届出について(重要土地等調査法)」2026年4月1日(閲覧 2026年11月2日)
  6. 法務省「検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)」2026年10月5日(閲覧 2026年11月2日)
  7. 法務省「令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について(国内連絡先)」2024年4月1日(閲覧 2026年11月2日)
  8. 財務省「非居住者による本邦の不動産等取得に係る報告 制度の概要」2026年4月(閲覧 2026年11月2日)
  9. 財務省「外国為替の取引等の報告に関する省令の一部を改正します(令和8年4月1日施行)」2026年2月20日(閲覧 2026年11月2日)
  10. 財務省「令和8年度税制改正の大綱(4/9)消費税」2025年12月26日(閲覧 2026年11月2日)
  11. 国税庁「No.6303 消費税および地方消費税の税率」2026年4月1日(閲覧 2026年11月2日)
  12. 国税庁「No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任」2026年4月1日(閲覧 2026年11月2日)

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資・税務・法律上の助言ではありません。数値は末尾の出典の公表時点のものであり、その後変わる可能性があります。個別のご判断は専門家にご相談ください。

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